つい先日、久しぶりに実家へ帰ったときのこと。
庭に面した縁側で母と話しながら、ふと昔の風景を思い出しました。
「昔はここにスズメが10羽ぐらい集まってたよね。お米をまくと、すぐに来たのに…」
「そうそう。チュンチュンにぎやかで、うるさいくらいだったのにね」
でもその日は、1羽も見かけませんでした。
耳をすましても、聞こえるのは遠くの車の音ばかり。
あれほど当たり前にいたはずのスズメが、いなくなっていることに、ようやく気づきました。
とはいえ、「スズメが減ってる」というニュースを聞いても、どこかピンと来ない方も多いのではないでしょうか。
なぜなら、死骸を見たことがないからです。
この記事では、私自身が感じた疑問
こんな方におすすめ
- なぜスズメが減ったのか?を知りたい方
- どうして死骸を見ないのか?と疑問を抱いている方
という素朴な問いをもとに、専門家の調査や生態的な背景を交えて、分かりやすく解説していきます。
Contents
スズメが減少しているのは事実
環境省の「全国鳥類繁殖分布調査」やNPOバードリサーチの調査によると、スズメの数はこの30年で90%以上も減少したと報告されています。
| 時期 | 推定個体数 |
|---|---|
| 1990年代前半 | 約2億羽 |
| 2020年代 | 約1,000万羽以下(推定) |
スズメが減った原因は?|5つの主な理由

1. 巣作りできる環境の喪失
スズメは、家の軒下や瓦の隙間などに巣を作ります。
しかし、現代の住宅は高気密・高断熱化が進み、スズメが入り込むすき間がほとんどなくなりました。
🏡「新築の家では、スズメが寄りつかない」と感じている方も多いはずです。
2. 農薬と除草剤によるエサの減少
スズメの主食は
- 稲や麦のもみ
- 雑草の種
- 昆虫(イネにつく虫や小バエなど)
ですが、近年の農業では農薬や除草剤の使用が当たり前になり、エサが激減。特に殺虫剤が昆虫の数を減らしていることが指摘されています。
3. 稲作自体の減少
1990年代と比較して、稲作農地の面積も減少しています。
農業従事者の高齢化・後継者不足による耕作放棄地の増加により、落ち穂を食べる機会が少なくなりました。
4. 気候変動の影響
スズメは寒さに弱く、冬越しに失敗すると命を落とします。
近年は寒暖差が激しい異常気象や、局所的な豪雪などが増え、スズメにとって生き残るのが難しい冬が続いています。
5. 子どもや人との関係が薄れた
昔は公園や学校で子どもたちがエサを与える光景が当たり前でしたが、今は
- 屋外で遊ぶ子どもが減少
- 鳥にエサをやることを禁止する自治体が増加
この結果、人間との接点が減り、人里から離れていく傾向が見られます。
でも、なぜ死骸を見かけないの?
「スズメが減っている」と言われても、実感が湧かない理由のひとつが「死骸を見たことがない」という点。
実はこれにも明確な理由があります。
理由1:死後すぐに外敵に食べられる
自然界では、死んだ動物の死骸はすぐに回収されます。
- カラス
- ノラネコ
- タヌキ、ハクビシン
などが、スズメの死骸をすぐに食べてしまうため、人間の目に触れる前に“処理”されてしまうのです。
理由2:人目のつかない場所でひっそり死ぬ
スズメを含む野鳥は、本能的に弱った姿を見せません。体調が悪くなると、
- 草むら
- 植え込みの奥
- 雨どいの裏
など、人が見つけにくい場所に身を隠して死ぬ傾向があります。
理由3:小さすぎて、腐敗も早い
スズメの体重は20g程度。とても小さな体は、
- 雨や風で流される
- 虫やバクテリアによって短時間で分解される
といった要因から、すぐに形がなくなってしまうのです。
実感を持てない“静かな絶滅”に注意を
スズメは「当たり前にいる鳥」でしたが、その当たり前が今、音もなく失われつつあります。
気づけば見かけない
鳴き声も減った
子どもが「スズメって何?」と聞いてくる
こうした小さな変化の先にあるのが、静かな絶滅(サイレント・エクスティンクション)です。
よくある質問(FAQ)
スズメがいなくなったのは、地域によって違うの?
はい、地域差はありますが全国的な傾向です。
都市部では比較的残っている地域もありますが、農村部や郊外の方が減少率が高いというデータもあります。
これは、かつてスズメが多く依存していた「稲作農地」や「雑草のある草地」が激減しているためです。スズメを見かけるけど、昔と比べて減っているってほんと?
減っているのは事実ですが、“感覚”では分かりにくいだけです。
今でも都市部の公園や神社などではスズメを見ることがあります。
しかし、日本全体で見ると1990年代と比べて90%以上減っているという調査結果があり、日常生活の中で“気づかれにくい静かな減少”が進んでいます。スズメの死骸を見ないのはなぜ?やっぱり何かおかしいの?
自然界では小動物の死骸はすぐに処理されるため、見かける機会が少ないのが普通です。
スズメは非常に小さな生き物で、死後は以下のような理由ですぐに消えてしまいます
・外敵(カラス・猫など)に食べられる
・草むらや物陰でひっそり死ぬ
・分解が早く、雨や虫によってすぐ跡形がなくなる
つまり「死骸がない=減っていない」わけではありません。スズメの代わりに増えている鳥はいるの?
はい、ムクドリやヒヨドリなど、都市環境に適応した鳥が増加しています。
これらの鳥は雑食性で適応力が高く、人間の生活圏にもなじみやすいため、スズメの代わりに目立つようになっています。
一方で、スズメのように「特定の環境に依存していた鳥」は減少しやすい傾向があります。
まとめ
スズメがいなくなったのは、環境の変化だけではありません。
私たちの住まい方、食べ物の選び方、自然との距離感の変化が、スズメの住みにくさへと直結しています。
そして、死骸を見ないのは「見えない場所で静かに消えていっている」から。
その“見えない危機”に気づき、関心を持つことが、自然と共に生きるための第一歩です。
あとがき あの頃のチュンチュンを、未来にも残すために
子どもの頃、朝の光と一緒に聞こえたスズメの鳴き声。
それが聞こえない今の静けさが、少し寂しいのはきっとあなたも同じはず。
未来の子どもたちが「あの鳥、かわいいね」と言えるように。
私たち一人ひとりの小さな関心が、自然を守る力になります。
