私は保護犬の預かりボランティアとして、これまでに何頭もの犬たちを一時的に預かってきました。
新しい里親さんが見つかるまでの間、人と暮らす練習をしたり、安心できる環境に慣れてもらったりするのが私の役目です。
けれど、どの子も最初の壁になるのが「散歩」です。
特に今うちにいるフレンチブルドッグの男の子は、リードを見るだけで固まってしまうんです。
玄関までは元気いっぱいなのに、外に出ようとすると一歩も動かない。
車の音がするとブルッと震え、帰ろうとする。
保護犬は過去の環境やトラウマを抱えていることも多く、散歩そのものが怖い経験と結びついている場合があります。
そんな子たちに“無理やり歩かせる”のではなく、「散歩って楽しいことなんだよ」と少しずつ教えていく。
それが、預かりボランティアとして私が最も大切にしている時間です。
この記事では、犬が散歩を嫌がる理由をタイプ別に整理し、「怖がり」「わがまま」「体の痛み」など原因ごとの正しい対処法を詳しく解説します。同じように「散歩を嫌がる犬と向き合っている」飼い主さんやボランティア仲間の参考になれば嬉しいです。
こんな方におすすめ
- 保護犬や臆病な犬の散歩に悩んでいる方
- 「外に出ようとしない」「座り込む」犬への接し方を知りたい方
- 優しく自信を取り戻させたい飼い主・ボランティアの方
Contents
散歩をしない犬の心理と行動サイン【3つのタイプ】
1. 怖がりタイプ 「外=怖い場所」という学習
特に保護犬やブリーダー崩壊現場出身の犬に多いタイプです。
外の世界をほとんど知らないまま育ったため、車の音や風、鳥の鳴き声など、私たちが気にもしない刺激に強い不安を感じます。
私が預かったフレンチブルドッグもそうでした。
玄関までは元気に歩くのに、ドアの向こうに出ると体が固まり、リードを軽く引くだけで震え出す。
これは「外に出る=怖いことが起こる」という過去の経験が根づいているサインです。
このタイプの犬には、外に慣れる前に“音や空気”だけを感じさせるステップが必要です。
たとえば、玄関先で数分座っておやつを食べるだけでも十分な練習になります。
2. わがままタイプ 「行かないと構ってもらえる」と学習
次に多いのが、いわゆる“わがままタイプ”。
ただしこの言葉には誤解があります。
彼らは本当の意味でわがままなのではなく、「歩かないと飼い主が心配して構ってくれる」と学習しているのです。
犬はとても賢く、飼い主の反応をよく観察しています。
以前、散歩中に座り込むたびに抱っこしていた子がいましたが、その行動を“正解”と覚えてしまい、次第に歩かなくなりました。
このタイプには、飼い主側の姿勢がカギ。
「歩いたら褒める」「座っても構わない」を徹底することで、行動が自然と変わっていきます。
3. 病気タイプ 「歩きたいけど歩けない」サインを見逃さない
最後に見落とされがちなのが、身体的な不調による拒否です。
関節の炎症や心臓の病気、熱中症など、体の痛みが原因で動けないケースもあります。
保護犬の中には、過去に怪我をして足をかばううちに「歩くと痛い=散歩は嫌だ」と記憶している子も少なくありません。
また、老犬になると足腰の衰えや呼吸の乱れが原因で歩行を嫌がることもあります。
散歩を拒む日が続く場合、単なる気分ではなく健康のサインとして見逃さないことが大切です。
| タイプ | 行動の特徴 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 怖がりタイプ | 外に出ると固まる・震える | 音や刺激が怖い・社会化不足 |
| わがままタイプ | 玄関で止まる・抱っこをせがむ | 飼い主の反応を学習している |
| 病気タイプ | 散歩中に座る・元気がない | 関節痛・心疾患など健康トラブル |
このように、「散歩をしない」という行動の裏には、恐怖・学習・痛みのいずれかが隠れています。
そして重要なのは、どのタイプの犬にも共通して言えること、それは「歩かないことを責めず、安心を与える」こと。
犬が再び自分の足で外を歩きたいと思えるようになるには、“信頼の積み重ね”が唯一の近道です。
飼い主がやってはいけない3つの行動
散歩を嫌がる犬に対して、つい「早く慣れてほしい」と焦ってしまうのは飼い主として自然な感情です。
しかし、その気持ちが行動として間違った方向に出てしまうと、犬の“散歩嫌い”をさらに悪化させてしまうことがあります。
ここでは、保護犬の預かりボランティアの現場でもよく見かける、絶対に避けるべき3つの行動を紹介します。
| NG行動 | よくある状況 | 犬への悪影響 | 正しい代替行動 |
|---|---|---|---|
| ① 強引に引っ張る | 玄関で固まった犬を無理に歩かせる | 「散歩=怖い」と学習してトラウマ化 | 立ち止まったら数秒待ち、犬が自発的に一歩動いたら褒める |
| ② 怒鳴る・叱る | 動かない犬に「何してるの!」と声を荒げる | 飼い主の声自体を恐怖と結びつける | 静かな声で落ち着かせ、安心を優先する |
| ③ おやつで無理に釣る | 歩かせたい一心でおやつを連発 | 「おやつがなければ歩かない」条件反射が形成される | ご褒美は“偶然歩けたとき”に限定して与える |
① 強引に引っ張る 「恐怖の記憶」を作らない
リードを引いて歩かせようとすると、一見「しつけ」になっているように感じます。
しかし犬にとっては、「怖い場所に無理やり連れて行かれた」という記憶が残るだけ。
特に保護犬の場合、この一度の強制体験が、散歩全体への拒否反応に発展することもあります。
私が以前預かった子も、過去に引きずられるように散歩させられていた経験があり、リードを少し引いただけで体を低くして怯える癖がありました。
犬が止まったときこそ信頼を築くチャンスです。
「待つ」「褒める」「安心させる」を意識しましょう。
② 怒鳴る・叱る 信頼関係を壊す最短ルート
散歩がうまくいかないと、つい「どうして歩かないの」と苛立ちが出てしまいます。
けれども、犬はその言葉の意味ではなく声のトーンに反応します。
怒りの声を浴びせられると、「飼い主の近く=怖い」と結びつき、次第に目を合わせなくなります。
実際、怒られ続けた犬は“外が怖い”のではなく“飼い主が怖い”という心理状態に陥ることもあります。
大切なのは、失敗しても冷静に対処すること。
犬が動けなかった日は、「無理に行かなくていいよ」と優しく声をかけるだけで信頼が積み重なります。
③ おやつで無理に釣る 一時的な成功が長期の失敗に
おやつは犬のやる気を引き出す強力なツールですが、使い方を誤ると逆効果になります。
「おやつを見せたときだけ歩く」「歩くふりをしてすぐ止まる」など、行動が報酬依存になるからです。
これは散歩そのものを楽しむのではなく、“ご褒美を得るための作業”になってしまう状態。
正しい使い方は、犬が自発的に動いた瞬間に褒めながら与えること。
そうすることで、「歩く=楽しい」と自然に学習していきます。
散歩をしない犬を前にすると、「何とかしなきゃ」と思うほど人間が動きたくなります。
でも、本当に必要なのは“待つ勇気”です。
犬が安心して一歩を踏み出せるようになるまで、静かに寄り添うこと。それこそが、ボランティアでも飼い主でも変わらない、信頼関係づくりの原点です。
健康トラブルの可能性も忘れずに
犬が散歩を嫌がるとき、つい「性格の問題かな?」と思いがちですが、実は体の不調が原因で歩きたくないケースも多く見られます。
特に、保護犬やシニア犬、また体の弱い小型犬などは、ちょっとした痛みや疲労でも散歩を拒むことがあります。
「気分が乗らないだけ」と思って放置すると、知らないうちに症状を悪化させてしまうこともあるため注意が必要です。
| 疾患タイプ | 主な症状 | 見分け方・特徴 | 飼い主の対応 |
|---|---|---|---|
| 関節・筋肉のトラブル | 足を引きずる、座り込む | 雨の日や寒い日に悪化しやすい | 段差を避け、柔らかい地面を選ぶ。病院で関節チェックを依頼 |
| 心臓・呼吸器疾患 | 息切れ、咳、散歩中に止まる | 少し歩くだけで疲れる・咳き込み | すぐに受診。心雑音や肺機能の検査が必要 |
| 神経・脊椎系の異常 | 足元がふらつく、方向転換が苦手 | 若くても発症することあり | 無理に歩かせず、動画を撮って獣医に相談 |
| 熱中症・脱水 | 呼吸が荒く舌を出す、元気がない | 特に夏季や湿度が高い日 | 散歩時間を早朝・夜に変更し、室内温度管理を徹底 |
| 内臓疾患・慢性疲労 | なんとなく元気がない、歩きたがらない | 食欲低下や下痢を伴うことも | 数日続く場合は血液検査を依頼 |
体調不良による「歩かない」サインを見逃さない
私が預かっていたフレンチブルドッグの中にも、「外が嫌い」だと思っていた子が、実は膝関節の炎症を抱えていたことがありました。
リードをつけた瞬間に座り込み、前足を浮かせるような仕草をしていたのですが、診察の結果、小さな段差の上り下りで痛みが出ていたことが判明しました。
関節の炎症は、特に小型犬・短足犬種に多く見られるトラブルです。
「散歩中に止まる」「座り込む」「リードを引くと怒る」といった行動が見られたら、まずは痛みのサインを疑ってみましょう。
その日のうちに動物病院へ行けなくても、歩き方を動画で撮影しておくと診察がスムーズになります。
季節・時間帯・環境も健康リスクに関係する
健康トラブルは病気だけでなく、季節や天候の影響でも起こります。
夏は熱中症、冬は関節炎、梅雨時は湿度によるだるさ。
特にアスファルトが熱い日は、肉球の火傷や体温上昇を招きます。
外気温が25℃を超える日は、朝6時前か夜8時以降に散歩時間をずらすなど、環境に合わせた対策が必要です。
また、保護犬はストレスによる体調変化も起こしやすく、引き取られて間もない時期は「精神的な疲労」で散歩を拒むケースもあります。
無理に歩かせず、1〜2日休ませるだけで気持ちが落ち着くこともあります。
獣医に相談すべき“3つの目安”
- 散歩を嫌がる状態が3日以上続く
- 明らかに歩き方が不自然(片足を浮かせる・よろける)
- 食欲や元気が同時に低下している
これらに当てはまる場合は、迷わず動物病院へ。
「行きたくない」ではなく「行けない」状態になっているかもしれません。
散歩は健康チェックのバロメーターでもあります。
普段との違いを敏感に感じ取ることが、犬の命を守る第一歩です。
このように、行動の裏に潜む健康トラブルを丁寧に見極めることで、「ただの気分」ではなく「SOSのサイン」に早く気づけるようになります。
飼い主や預かりボランティアの観察眼こそが、犬にとっての最高のケアです。
散歩嫌いを克服する4ステップトレーニング
散歩を嫌がる犬を前にすると、「どうすれば歩くようになるのか」と焦ってしまいます。
しかし、犬にとって散歩は“学習”であり、“訓練”ではありません。
焦りや強制ではなく、「怖くない」→「少し楽しい」→「もっと歩きたい」という心の段階を踏ませていくことが大切です。
ここでは、保護犬の預かりボランティアとして実際に行っている4ステップの慣らしトレーニングを紹介します。
| ステップ | 内容 | 目標 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| STEP1 | 家の前に出るだけ | 外の空気や音に慣れる | 3〜5日 |
| STEP2 | 匂いを嗅ぐ・周囲を観察 | 「外=安全」と学習する | 1週間 |
| STEP3 | 5分だけ歩く | 自発的に歩く意欲を育てる | 1〜2週間 |
| STEP4 | 犬の行きたい方向を選ばせる | 散歩を“自分の意思”で楽しむ | 継続的に |
■ STEP1:家の前に出るだけでOK
最初の目標は「歩くこと」ではなく、「外に出ること」です。
リードをつけ、玄関前で数分過ごすだけでも十分。
風の匂い、鳥の声、遠くの車音――それらに慣れることが第一歩です。
怖がる様子を見せたらすぐに室内に戻って構いません。
「今日はここまででいい」と犬に安心を与えることが、次の段階への信頼の土台になります。
■ STEP2:匂いを嗅ぐ・観察する時間を作る
犬は嗅覚を使って情報を得る生き物です。
歩かなくても、外の匂いを嗅ぐだけで脳が刺激され、外への興味が芽生えます。
私が預かっていたフレンチブルドッグも、最初は玄関のタイルを嗅ぐだけの日々でした。
それでも1週間ほど経つと、自分から門の外へ一歩出るようになりました。
この段階では、犬のリードを引かず、好きなように観察させましょう。
飼い主は“見守り役”に徹するのがポイントです。
■ STEP3:5分だけ歩く練習をする
次は「歩く」ステップです。
ただし、距離やコースは重要ではありません。
1メートル進んで座り込んでも、それは立派な進歩です。
歩けた瞬間に「すごいね」「えらいね」と優しく声をかけることで、犬は“自信”を覚えます。
この段階では、おやつを報酬ではなく“勇気へのご褒美”として使うと効果的です。
できたことを強化し、失敗を責めない――この繰り返しが習慣を作ります。
■ STEP4:犬の行きたい方向を選ばせる
最後の段階では、散歩の主導権を少しずつ犬に渡します。
「この道に行きたい」「こっちを嗅ぎたい」という意思を尊重することで、散歩そのものを“自分の時間”として感じるようになります。
ボランティア仲間の間では、「犬が行きたい方向に10歩だけ付き合う」というルールを実践している人も多いです。
人間のペースではなく、犬のペースを軸にすると、表情が明らかに変わってきます。
この4ステップを焦らず実践すれば、
最初は動けなかった犬も、やがて自分からリードを咥えて「行こうよ」と誘ってくるようになります。
大切なのは“毎日進歩しなくてもいい”という心構え。
昨日より少し外に出られた、それだけで立派な成長です。
犬に「怖くない」と思わせるのは言葉ではなく、あなたの落ち着いた態度そのもの。
散歩嫌いを克服するカギは、信頼を積み重ねる日常の中にあります。
散歩の代わりにできる室内運動
外の刺激が怖くて散歩に出られない犬や、天候・体調の影響で外出が難しい犬には、室内での代替運動を取り入れるのがおすすめです。
保護犬の預かりボランティアをしていると、外に出られない期間がどうしてもあります。
そんなとき、「動けない=退屈」にならないよう、頭と体を同時に使う遊びを工夫しています。
ポイントは、“疲れさせる”のではなく、“満足させる”運動を選ぶことです。
| 運動タイプ | 内容 | 向いている犬 | 飼い主のサポート |
|---|---|---|---|
| ノーズワーク遊び | 匂いでおやつを探す | 臆病・慎重な犬 | 難易度を段階的に上げる |
| 室内ボール遊び | 小さなボールで軽く追いかける | 元気・若い犬 | 滑りにくいマットを使用 |
| 知育トイ(コングなど) | 中におやつを入れて考えさせる | 食べる意欲が強い犬 | 短時間でも集中力UP |
| 障害物ウォーク | クッションや箱を並べて歩く | 好奇心旺盛な犬 | 「すごいね」と声がけで強化 |
| マッサージ・ストレッチ | 体をなでて安心させる | 老犬・ビビり犬 | 信頼関係を深める効果大 |
■ ノーズワーク遊び 嗅覚を使って心を落ち着かせる
ノーズワークとは、おやつやフードを隠して犬に探させる遊びです。
運動量こそ少ないものの、嗅覚を使うことで犬の脳が活発に働き、精神的な満足感が得られます。
私が預かっていた保護犬の中には、外の物音が怖くて一歩も出られなかった子がいましたが、ノーズワークを毎日10分続けたところ、数週間で表情が柔らかくなり、玄関先まで自分から来るようになりました。
散歩の前段階としても非常に有効です。
■ 室内ボール遊び 短時間でストレス発散
安全な範囲でボールを投げ、取って戻す遊びは、短時間でも高い満足感を得られます。
ただし、滑りやすい床では関節に負担がかかるため、ラグやマットを敷いてあげましょう。
また、元気な犬ほどエネルギーが余りやすいため、1日2〜3回、5分程度の軽い遊びを分けて行うのがコツです。
「運動=体を使う」だけでなく、「飼い主と一緒に何かをする」という時間そのものがストレス解消になります。
■ 知育トイ・障害物ウォーク 楽しく考える運動
コングなどの知育トイを使うと、犬は「どうやっておやつを取り出すか」を考える過程で集中力を使います。
これにより、精神的な疲労を心地よく与えられます。
また、クッションや段ボールを障害物のように並べ、「ゆっくり歩いてみよう」と声をかける“障害物ウォーク”も効果的。
保護犬の場合、狭い空間を自分のペースで歩くことで、自信を取り戻していく姿が見られます。
■ スキンシップ運動 触れることで落ち着かせる
運動というとアクティブな動きを想像しがちですが、触れる・なでることも立派な「心の運動」です。
特に保護犬や老犬は、マッサージによって血流が良くなり、「この人と一緒にいると安心」と感じるようになります。
トレーニングや遊びの後に軽く体をなでるだけでも、リラックス効果は大きいです。
■ 室内運動の心得
外に出られない日が続くと、飼い主も「運動不足になってしまうのでは」と不安になります。
しかし、無理に散歩へ出す必要はありません。
犬が心から安心して動ける場所で、“遊びながら学ぶ”時間を作ることが何より大切です。
室内運動は、単なる代替ではなく、犬との関係を深めるもう一つの方法です。
よくある質問
犬が散歩に行こうとしません。リードを見ただけで逃げます。どうすればいいですか?
リードをつけること自体に“恐怖の記憶”がある可能性があります。
いきなり散歩を再開せず、まずはリードを室内で出しておやつを与えたり、撫でながら装着する練習をしましょう。
外に出る前に「リード=安心できるもの」と再学習させることが大切です。
保護犬の場合は、外の音や刺激もストレスになるため、玄関前で数分座るだけの日を作って慣らすのが効果的です。雨の日や寒い日は散歩を嫌がります。無理に行かせるべきですか?
無理に行かせる必要はありません。
特に雨音や冷たい地面を嫌う犬は多く、天候に敏感な子はストレスを感じます。
その場合は室内でノーズワークや軽いボール遊びを行い、運動量を補いましょう。
また、短毛種の犬やシニア犬には防寒対策(服やブーツ)を用意し、季節に合わせて快適に過ごせる環境を整えることが大切です。散歩中に途中で座り込んで動かなくなります。どう対応したらいいですか?
無理に引っ張らず、まずは犬が止まった原因を観察しましょう。
怖い音や車、見知らぬ人が近くにいる場合は距離をとって静かに待ちます。
もし理由が分からない場合は、立ち止まったまま落ち着かせ、少し歩き出した瞬間を褒めてあげてください。
「止まっても安心」「歩くと褒められる」という経験を積み重ねることが、長期的な克服につながります。散歩中に他の犬や人を見ると怖がります。社会化はどう進めればいいですか?
社会化は「慣れさせる」よりも「安心させる」ことを重視しましょう。
いきなり接触させず、まずは10〜20メートルほど離れた場所で他の犬を“見るだけ”から始めます。
怖がる素振りを見せたら距離をとり、落ち着いたら褒める。
これを繰り返すことで「他の犬がいても大丈夫」と学習します。
保護犬は特に慎重に進め、無理な接近は避けましょう。散歩を嫌がるのが性格なのか、病気なのか分かりません。見極め方を教えてください。
「急に嫌がるようになった」「歩き方が不自然」「息が荒い」といった変化がある場合は、病気の可能性があります。
関節炎や心臓疾患、熱中症などの症状が隠れていることもあるため、早めの受診をおすすめします。
一方で、子犬や保護犬などは“外の刺激に慣れていないだけ”の場合もあります。
体調に異変がないなら、焦らず少しずつ外の環境に慣らしていきましょう。
まとめ
犬が散歩をしない理由は、単なる“わがまま”ではなく、恐怖・不安・体の痛みなど、さまざまな背景が隠れています。
特に保護犬や臆病な性格の子の場合、外の世界は未知の刺激に満ちており、初めての音や匂いに強いストレスを感じることがあります。
そんな犬たちに必要なのは、叱責や強制ではなく、「安心を積み重ねる時間」です。
散歩を克服するには、段階的なステップが効果的です。
まずは家の前に出るだけでも十分。
次に、匂いを嗅ぎ、外の音に慣れ、少しずつ「自分の足で歩く楽しさ」を思い出させてあげましょう。
飼い主が焦らず、犬のペースを尊重することで、散歩は“恐怖の時間”から“信頼を深める時間”へと変わります。
また、「散歩を嫌がる=問題行動」と決めつけず、健康状態にも目を向けることが大切です。
関節や心臓の異常、季節による不調などが原因のこともあります。
歩き方の違いや呼吸の乱れを感じたら、動画を撮って獣医師に相談してみましょう。
小さなサインを見逃さない観察力こそ、犬を守る最良のケアです。
そして、外に出られない時期には、室内での運動や知育遊びを取り入れることで、心と体のバランスを保てます。
ノーズワークや軽いボール遊び、マッサージなど、家の中でもできる工夫はたくさんあります。
「無理に外に出さない日があってもいい」と考えることで、飼い主も犬もストレスが減り、関係がより穏やかになります。
預かりボランティアとして、多くの犬と関わってきて感じるのは、どんな子にも必ず“変化の瞬間”が訪れるということです。
初めて外を歩いた日、小さく尻尾を振った日――その一歩を見届けたときの喜びは、言葉では言い表せません。
散歩とは、ただ歩くことではなく、信頼を築くための時間なのです。
今日できなかったことも、明日できるかもしれない。
その小さな希望を信じて、焦らず一緒に歩いていきましょう。
| 見出し | 要点まとめ | 飼い主の行動ポイント |
|---|---|---|
| 犬が散歩をしない原因 | 怖がり・わがまま・病気の3タイプ | 原因を見極めて対応 |
| やってはいけない行動 | 強制・叱責・おやつで釣る | 信頼を損なうNG対応 |
| 健康トラブルの可能性 | 関節・心臓・熱中症に注意 | 病院相談+動画記録 |
| 克服ステップ | 段階的慣らしで再び歩ける | 成功体験を積ませる |
| 室内運動の代替策 | ノーズワークなどで代用 | 無理に外出させない |
参考リンク
- 環境省「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準/犬の飼い方のルール」
- 環境省「飼い主の方やこれからペットを飼う方へ」
- JAHA「家庭犬のしつけ方講座」
- ペットフード協会「犬の運動量と健康管理データ」
- 千葉市・自治体の「熱中症・散歩の注意点」
